第1章

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 「ここはだれも住んでいないから、好きに使うといい」 ご老人はそう言って、にこりと笑いました。 わたしは精一杯の感謝の意を、ご老人に伝えました。 ご老人は 「あとで、わしの畑に行こう。ここで生きていくには、何か作物をつくらなければ、どうにもならんからな」と、おっしゃいました。  そして、畑に案内してもらい、ご老人から作物のつくりかたを教えていただきました。 さらに、ご老人は、自分の持っていた畑の一部を、わたしへ譲ってくださりました。 わたしは、感謝してもしきれない思いでした。 持っていた自分の有り金を、すべてご老人に渡すつもりでいました。 それでもご老人は 「気にするな。そんなものはいらん」と、ぶっきらぼうに、どこか照れくさそうに言うばかりでした。
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