第1章

7/7
前へ
/7ページ
次へ
 その翌日、わたしはとても晴れやかな気持ちでおりました。 心につっかえていたものが、きれいに無くなった気分でした。 それからというもの、わたしが優しさを恐れることはなくなりました。 わたしの心から疑心の鬼は姿を消しました。  この村に来てわたしは変わることができたのです。 以前のわたしは、他人からの評価を気にし、嫌われることを恐れ、どうにか自分の存在に気づいてほしいがために、ずっと無理をしていました。 しかし、今のわたしは、四季の声を感じ、動物達の表情に心をあたため、人々の優しさを素直に受け入れる、心の余裕を持つことができるようになったのです。  この村に来て数年が経ちました。 今、わたしはこの村で、ほんとうの優しさと、ほんとうの幸せに触れて、生きているのでございます。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加