第1章

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 わたしは、話している間に、涙がでてきていることに気づきました。 ご老人は、黙って最後まで聞いてくださりました。 そして、このように言いました。 「きみは、今まで頑張ってきたんじゃあないか。自分を犠牲にして、優しさを貫いてきたんじゃあないか。なにも自分を責めなくともよい。大丈夫。わしも、村の人間も、皆、心からきみを仲間だと思っている。わしらの優しさは、きみへのまっすぐな気持ちなんだ。だけど、今は信じられなくとも、気に病むことはないんだよ」 わたしは、それを聞いて、年甲斐もなく、子供のように、おいおいと泣きました。 今まで溜め込んできた感情が、一度ににあふれ出てくるのが、自分でもよく分かりました。  ご老人は、わたしの頭を、それこそ泣いている子供をなだめるように、優しく撫でました。
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