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夜の怪物
我は吸血鬼(ヴァンパイア)!強くて美しい高貴なる怪物なり。
今宵も獲物を探しに夜道を飛び回る!
「おっ!会社帰りの美人OL発見!美味そうなり」
羽根を畳み、
襲うタイミングを伺いつつ美人OLを尾行していると、
急に誰かとぶつかった!
トレンチコートを着た怪しい男であった。
「痛い!何だそなたは誰ぞ!?」
「俺は露出狂!今からあの美人OLに自分の裸を見せ付けるんだ!
お前もしかして俺の同業者か?」
「否!我は吸血鬼なり!そちの様な下賎なる人間の変態と一緒にするでない!
そもそも同業者て職種みたいに言うでない」
「お前羽根広げて蝙蝠に変態してたじゃないか!
俺もトレンチコートを羽根みたいに広げるぜ」
「だから一緒にするでない!姿を変える変態と、
異常性癖の変態は別だ!」
我が露出狂と口論していると、
美人OLは振り向いてこちらに歩み寄って来た。
「貴方達もしかして吸血鬼と露出狂?
実は私は性魔(サキュバス)!
貴方達の精気は全部吸い取るわ!」
「ひい!そなたが我の同業者であったか!」
「俺達より変態!」
我と露出狂がサキュバスと化した美人OLから逃げ惑っていると、
前方にパトロール中の警官が現れた。
「どうしました?」
「助けて!サキュバス・・・・・じゃなくて痴女が襲って来る!」
「成る程サキュバスね・・・・・オォーン!」
なんと警官は満月を見上げて狼男(ウルフマン)になった!
「なんと!警官まで我の同業者だったとは!」
「人間は露出狂の俺だけかよ!」
「実は国は本官以外にも狼男や犬神やケルベロスを沢山警察官に採用して飼い馴らしているから、
正確には犬男達(ドッグメン)だワン!
お前達不審な化け物どもは全員逮捕して餌にするワン!」
そうか、一番の怪物は国家だったのだな。
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