起動

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  『オオォォォオ!! オオオオオオッ!!』』  ジェノロップスはユキナを危険だと判断したのだろう。ユキナに狙いを絞り攻撃を繰り出す。    そして、学習したのか、小技でユキナが近づけないように攻めている。  まぁ、しかし……小技と言ってもあの巨体から繰り出される攻撃を正面から受けるのはマズイだろう。   「……っ!! ハッ!!」  ユキナもそれは分かっているようで、繰り出される金槌をバスターソードで弾いて隙を作ろうとしていた。  激しい金属音を鳴り響かせながらユキナはジェノロップスと激戦を繰り広げる。武器がぶつかり合う火花と攻撃エフェクトが混じり闘いを一層激しく見せる。 「任せっきりにするのは悪いと思うけど……。正直、参戦しても足手まといにすらなれなく一瞬で死にそうなんだよなぁ」  と、誰が聞いてるわけでもない言い訳を言いつつ、俺はメニューを出現させ、その欄の『パーティー情報』を開く。  盗み見しているみたいで少し良心が痛むが、中ボス級を相手に一人で闘えるユキナがどれくらいのレベルなのか気になった。 「ええっと、レベルは~…………はぁっ!? 三〇だって!? カンストしているじゃないか!!」  もう、さっきから驚きっぱなしだが、これには度胆を抜かれた。  このBBLは正式名称≪バース・バイ・リミット≫の名の通り、いくつかの制限――リミットが最初からある。レベルの上限、アイテムの種類の制限、装備の制限、習得スキルの制限などなど。この制限はゲームの主旨である『楽園の解放』を進めるごとに少しずつ解放される。  このBBLの世界≪クラウド≫は、五〇区画で構成されていて、最初の拠点地≪生まれの町≫を含めた一区画から五〇区画までを解放していくゲームだ。そして、二か月経ったいま、三区画が解放されレベルの上限は三〇となっている。  しかし、BBLでレベルをあげるのはなかなかに難しい。  この間の二区画のウォールドボスを倒したチームのレベル平均が一六って話だ。まだ、この三区画が解放されて二週間しか経っていないのにいま現在の最高レベル三〇までカンストしているんて……。  ……何者?
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