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このゲーム≪バース・バイ・リミット≫通称【BBL】を始めて約二か月経ったが、
「嘘だろ……」
俺は初めてステータスポイントをLUK(運)に全振りしていることを後悔した。
その後悔の原因は俺をすっぽりと覆う影を作り出す巨大な物体。
目の前の唸りを上げて動き始めた巨大な物体は十メートル弱は有りそうな一つ目の鬼ーーサイクロップス。
真っ赤な筋肉質な巨躯にボロキレだけを纏い、一つ目の頭には鋭く長い二本角があり何とも高圧的な雰囲気のモンスターだ。
既にその一つの目でしっかりと俺を捉えており、ターゲットは完全に俺に向けられている。
しかも、俺の目の前に突然現れたそいつは通常のサイクロップスに比べ規格外の大きさと棍棒の代わりに金槌を持つサイクロップスの希少種ーージェノロップス。
つい先日発見された、出現率一%以下で廃人プレイヤーが一週間張り込んでいても出会えるかどうかと言う珍しいモンスターだ。
ドロップするアイテムは稀少で価値が高い。それゆえに、強さは桁違い。
もちろん、ステータスポイントをLUK(運)に全振りしてる鍛治師(俺)が到底敵う相手ではない。
皮肉にも、システム上幸運な俺は、この出現率一%以下の稀少モンスターに出会ってしまった。
……いまだけはこの幸運を呪いたい。
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