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目を開けた俺の視界に飛び込んできたのは、拠点の『小靄の町』の景色でも、デスペナルティの確認ウインドウでもない――俺の上に跨る女の子だった。
肩に触れるか触れないかくらいの長さの真っ白な髪。澄んだ湖に張った氷のような瞳。それとは対極の暖かな桜色の小さな唇。
黒のローブを纏っていて顔しか見えないけど、かなりの美人。いや、正確には跨る姿勢のせいかローブから紺ニーソに包まれたスラっとしているがしっかりとした質感が見て取れる理想的な足も見えている。
って言うか……。
「な、なんですか!?」
座った体勢のまま後ずさり跨りホールドから脱出しつつ、突然現れた彼女にこの状況がどうなっているのか問う。
視界の端ではジェノロップスが唸り声をあげている。俺を捉えれなかった金槌がフィールドの壁に深く突き刺さって憤慨しているのだろう。
「……こっち」
俺の問いが無かったかのような鮮やかなスルー。
それどころか、彼女はローブの前を開くと俺を思いっきり引き寄せる。
「うぉっ!!」
かなりのステータスポイントをSTR(筋力)に振っているのであろう、俺は何の抵抗もできず手を引かれるまま、今度は彼女の腕の中にホールドされる。そして蓋を閉めるように彼女の纏っていたローブが二人を包み込む。
「な、な、な……なぁっ!!」
パニックパニック。タイタニック――じゃなくて、大パニック!!
近い近い! 近いよっ!! え、なんかいい匂いするし、防具で身を包んでいるはずなのに柔らかいし、なに!? なんなの!? BBLってこんな細部まで再現するの? てか、女の子って現実でもこんなに柔らかいんですか――――――!!
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