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「きゅ、急にあんなのが出てきちゃって焦ったよ。流石にデスペナルティも覚悟した」
「……そう」
操作に集中しているからか、元からなのか淡泊な返事をする彼女。
そして、改めて彼女を見て驚いたのが、彼女は≪盗賊のローブ≫の下には何も防具を着けておらず、水色のワンピースのみだった。そりゃ、柔らかいさ……。
「そう……なんですよ。あ、あははは……」
それにしても会話が続かない……。俺のコミュニケーション能力の低さか、彼女自身が俺とコミュニケーションを取ろうとしていないのか。
いや、そもそも会話を続ける必要もないの……か?
多分彼女は、襲われている俺を善意で助けただけ。これ以上の関わりも必要ないのだろう。
……うん。そうだよな。俺も一応感謝の言葉は伝えたし、あっちも何か忙しそうだ。
そう結論付けて、人差し指と中指の二本立てて何も無い空間を二回タッチする。
その動作に反応しシステムがメニューウインドウを出現させる。そして、メニューウインドウの中からログアウトを探し出す。
無言で去るのも悪いし最後に一言言っておこう。
「じゃ、じゃあ、いまの間に俺はログアウトしますね。本当にありが――」
「待って」
「え?」
『Yukinaがあなたをパーティーに誘っています。受諾しますか? はい/いいえ』
俺のログアウトを制止する声と一緒に、パーティー申請を受けるかの確認ダイアログが目前に現れる。
……なぜ?
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