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BBLには全てを把握するのが困難な程無数のクエストがある。その中に『人助け』のクエストが入っていたってなんの不思議もない。
そして、クエストクリア条件は『助けた人をパーティーに入れて、依頼主を尋ねる』とかなのかもしれない。
まっ、詳細は分からないけど、クエストとはいえ俺を助けてくれたし悪い人ではなさそうだ。
拠点に帰れればいま俺のアイテムストレージにある素材アイテムも安全な倉庫に移せるからな。睡眠時間を三十分くらい削っても得る物の方が大きい。
そう判断した俺は、ダイアログに出る『はい』と『いいえ』のアイコンのうち『はい』をタップする。
「ありがとう」
「いえいえ、助けてもらったからこれくらい……」
と、俺が言い終わらない内に、
「じゃあ、始めよう」
そう言った彼女――ユキナはそこらに転がる石を拾うと、
「ふっ!」
……思いっきり振りかぶり投げた。
ユキナの投擲した石は青色の攻撃エフェクトの尾を引きながら勢いよく飛んでいく。
その先にいるのは――ジェノロップス。
「は? はっ!? はいぃぃぃぃい!?」
パーティーを組んで俺の視界の左上に増えたユキナのHPバーと俺――コウスケのHPバーの左に再びターゲットのマークが付いたのだった。
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