プロローグ

2/4
262人が本棚に入れています
本棚に追加
/613ページ
 まあ……なんだ、あれだ。  太古の昔、世界の人々が平和に暮らしていたところ、うみの果てにある魔界から魔物と魔王が世界を掌握いせんと侵略してきたわけだ。  当然、戦士は戦士しか、農民は畑しか、狩人は獣しか、貴族は格下しか相手にしていなかったから魔物の相手を出来るわけもなく、あっという間に人々は追い込まれてしまったわけだ。  そして、魔物は世界のあちこちまで生息圏をひろげていった。  だが、人々は黙っているわけもなく、人間というのは恐ろしいもので対魔物武術を開発し、三年前に【勇者】と【神】を筆頭にして【魔王】へ世界規模の喧嘩を仕掛けた。  そして、【勇者】と【神】の活躍により【魔王】は倒され、人々は平和を取り戻した。  しかし、先の大戦で生き残った【魔王】の嫡子が親父の敵討ちと言わんばかりに世界へ宣戦布告。  【勇者】も先の大戦で命を落としているため、その子供が参戦。  そして今、その戦いのど真ん中である。  それが今の世界情勢。  俺のような一兵卒がそんなことを知ったってぶっちゃけ役に立たないがな。そういうのは上の人たちがどうにかすることだ。  俺が気にすることじゃない。 「はぁはぁ……」  というより、今はそんなことを言っている場合ではない。  俺は今走っている。しかも自分が出せる最高速度でだ。  今ならかの有名な“走れメロン”に登場する主人公メロンよりも速く走れると豪語できる。  きっと太陽が真上にあるうちに王のもとへたどり着けるに違いない。  なんで走ってるかって?  別に体を鍛えているわけではないぞ。体は毎日鍛えているから、今更ロードワークをする必要がない。  そりゃあ……小さい頃はムキムキの筋肉にあこがれて某ボクシング漫画のように壁にシャドーボクシングしたり、毎日卵ばっかり食べていたさ。  ん?  前置きが長い?  仕方ねぇな、言うぞ、言ってしまうぞ!?  だって自分の数十倍大きい化け物に追いかけられているんだもの。
/613ページ

最初のコメントを投稿しよう!