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「アラン=レイト二等兵! 貴様はこの土地の地形に詳しいみたいだな! 貴様にそこの分隊を任せる!以後、精進するように!」
「はぁ!?」
面倒どころの問題ではなかった。超面倒だった。
というか三日前まで掃除係りだった人に任せることじゃないだろうに。
そこまで人がいないのか。
よく見てみれば分隊を任されたのは俺だけではなかった。先ほどの文官がほかの新兵にも分隊を任せているようだ。運の悪い者の集いにようこそ、お前ら。
ここまで聞いた人の中で勘の良い人ならわかると思うが、この戦争の相手は【魔王】率いる魔王軍だ。
ぶっちゃけ今いるシュヴァルツ城はこの大陸で首都に近い城で、この城が落されてしまったら首都に攻め込まれてしまう。つまり、国の陥落だ。
この大陸、『ドーレン』は世界で一番大きな大陸で、この大陸が【魔王】の手中に治まったのなら、世界が侵略されるのも時間の問題であろう。
のにも、だ。のにも関わらず隣国の国々は支援を打ち切った。
もう……この国は終わりだろう。
そんな虫の息のこの国が、なぜ目の前にいる敵に向かいあっているかというと、なんとこの窮地にようやく【勇者】が救援に来たのだ。
正直、遅すぎるが【勇者】が何をやっていたのかは誰にもわからないとのこと。だが、今更【勇者】が来たからと言って戦況がひっくり返るわけでもない。
上層部は、そう思っていないみたいだが。
「伝令!」
と、そんな己の悲運にすすり泣く声しか聞こえない兵舎に、轟音ともいえる音が訪れた。
その正体は伝令。肩で息をしているところを見ると、かなり急いできた様子。
……いやだよ、なんか嫌な予感がプンプンするのは気のせいか?
「魔王軍が急速でこちらに迫っています!!!」
……絶望である。
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