ただのてのひら

ピカレスク的断片

　装填、完了。
　必要悪を排除、ビルの一室、弾けた脳漿、破壊された金庫、ブラインドの先は曇り、青空はまだか？　喧騒、デパート、ジャン・ポール・ゴルチエ、瀟洒、美容室、ブロックには蔦が鬱蒼と。構内、電車、トイレ、鏡、売店、ガム、構内、めまい、ドクター・マーチン。

　ＢＡＲは二階、最奥、複数の仲間、纏わりつく女、ギムレット、ピッツァ・マルゲリータ、煙草を切らしている。吐き気、ＤＪ、踊るキャミソール姿の女子大生、汗、ヘネシー、Ｖ・Ｓ・Ｏ・Ｐ、モエ・シャンドン、孤独。歌え、失笑、夜がどうしても明けない、地獄、ファウスト。

　マンションの一室、入り乱れた全裸の男女、先ほどの可愛いあの子は扉を背にして喘いでいた。注射器、ヘロイン、カート・コバーン、ジミ・ヘンドリックス、シド・ヴィシャス、リヴァー・フェニックス、名が残せたならここまで生きる理由などなかったものを。音楽、テーブル、腐った食事、腐った歯、露骨に触れ合う肌、オーバー・ドゥズ、涎も涙も垂れ流すほど。