英雄の盾

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 思わず目を覆いたくなったが、両手は生憎一本ずつ持たされて使えない。性器を喉でしごかれ、これでは薔薇の精も形なし、という自虐すら口には出せない。むせて吐くのはもっぱら精液だけだ。わたしは色々と催した。  そうこうしている内に、物事はてんで何もわからない次第になる。間断のない攻めにわたしは何度だって潮を吹くし、時には糞尿さえ漏らすのだがしかし、それが、看守長の最もお気に入りの時間帯でもあるらしかった。 「ねーえ?」 「……なに?」  気付けば近寄りまじまじと眺めていた看守長の問いに、わたしは答える。依然答える必要性を感じてはいないのだが、不思議と何だか答えてもいいような気がしてくるのだ、その時は。 「気持ちいい?」 「……ぜんぜん足りない」  その素直に出た皮肉に、看守長は子供のようににっこりと笑う。わたしも笑ったのかもしれない、もしかしたら。看守長は唐突に「あー君たちちょっとどいて」と、文字通り男たちを蹴散らす。看守長を見た彼らは一様に顔を恐怖にひきつらせ、瞬く間に隅へ駆け寄ってガクガクと震える。そうしてベッドをのぼり運良く壁に引っかかったわたしのそばに屈むと、軽やかに笑んで、乳房を覚束ない手付きで触る。  ちなみにわたしはこの五年間のうちで何度も妊娠と堕胎とを繰り返しているので、おっぱいの張りはまだ何とか保たれているものの、乳輪はぷっくりと膨らんでいるしピンク色だったあの頃の面影はないし乳首は大人が容易に含めるほど肥大化しちゃってるし、こうもされれば乳もだだ漏れ、性器は日々の出し入れの為にもっと酷いことになっているのだろうが、幸いわたしは下つきで、しかもこの一室に姿見はない。すなわち常時捲れた赤黒い陰核が見えるだけなので特に問題はない。妊娠する回数も徐々に減ってきており、むしろ最近は皆無だが、子供を欲しいと思ったことは一度だってないし、そもそも子供はわたし一人で充分だ。わたしとは、わたしだけがあやすことの出来る、わたしだけの永遠の子供なのだ。  そんなことを考えながらその変わり果てた肢体を呆然と灯りのもとに眺めていると、看守長がその汗と精液と乳とにまみれた乳房を持ち上げ、乳首を口へ含む。舌で転がし、強く吸う。わたしはその刺激に目を瞑り、同時に片方の乳房からも乳が噴水のように出る。看守長は横目にそれを見つけ、急いで片方の乳首をくわえる。…………
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