英雄の盾

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…………すると、先ほどまで吸っていた乳首が吹き出す。それを見た看守長は困り果て、最終的に双方の乳首をなるだけ近づけ、大口を開けて両方を含む。満足げに頷いて上目遣いにわたしを見やるのだが、その時には全くの無表情、もっとも焦点のあわないわたしもきっと似たようなものだ。  そうしてこれはあとあと気付いたのだが、どうにも乳の吸うのは看守長の特権らしい。男たちはわたしの胸を乱暴には扱うものの、誰一人として吸おうとはしない。もっともこんなわたしの乳など見向きのしなくて当然だが、その分この男の変態性が知れるというものだ。  看守長は長いことそうしていて、この時ばかりは例の飽き性も身を潜める。出やすいように乳房を両手でリズムよくマッサージし、淡々と吸い尽くしていく。  出の悪くなったところで漸う口を離し、最後に心持ち強めに揉む。滲み出たそれを吸い、乳輪を一周するように舐めるのが終了の合図だ。看守長は口を拭いながら立ち上がり、目を細め額の汗を拭う。一仕事した、とでも言う風に。そうしてベッドからおり、若干前屈みになりながら椅子へ戻っていく。  看守長のすることは、しかしそれだけ。彼は性交をしないのだ。ただし不能、ということは有り得ない。看守長の股間は今も尚はちきれんばかりに屹立しており、それどころか、昼夜においても萎えている姿を見ない。いみじくも臍の辺りへ配置されたその巨大性は、洗練されたパンツの下からでも常に、容易に形を差し図れる。  わたしが特に意味もなくその股間を眺めていると、看守長はその視線を追って「まっ!」と頬へ両手を添える。それから隅を一瞥し、「ああ、どんぞーん」
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