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☆ ☆ ☆
それは全くの突然だった。わたしはすっかり午睡に夢中だったので、一瞬何が起こったのかわからなかったぐらいだ。
目が覚めると、見張りが二人部屋に入り、わたしを見下ろしていた。
「看守長がお呼びだ、さっさと起きろ」とその片方が言った。もちろんわたしは眠っていたかった、が、汗を掻いていたのもまた事実だった。
わたしは最近少しずつ寒くなってきた気候の為に被っていた毛布を蹴飛ばし、起き上がってベッドへ座る、刹那脇を掴まれて連行される。
「一体、なに?」と聞いても、見張りは気色の悪い笑みを浮かべて乳房へ手を伸ばすだけ。わたしは二人に揉み拉かれながら、この異例さについて考えていた。扉を出て右へ折れる。
万事似たような一室に挟まれたほの暗い通路を歩き、畢竟結論は出ない。今まであの一室を出るのは医者に掛かる時以外になかったのだが、問題はほんの数日前にわたしが医者に看てもらっていることだ。わたしはそこで、確実に一生受胎出来ないことを暗に宣告されたのだった。
突き当たりまで引きずられる形で進み、扉の前、「なあ」
そこで左の男が欲情し、右の男へ同意を求める。気付けばワンピースの中へ手が侵入しており、いささかむず痒い。
右の男はその問いにしばしの間悩んでいたが、わたしを見、「いや、駄目だ」と左の男を制した。
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