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「ありがっとーん。ああ、君たちもう行っていいよう?」「はっ?」「とかは言っちゃ駄目だよう? 不敬罪でぶっ殺すよう?」「はっ! いえ! 失礼致しました!」
すると左の男の顔がみるみるうちに蒼白になり、「えっ?」わたしを部屋へ突き飛ばす。そうしてわたしが振り返った時には、扉は既に閉じられていた。
「まあ座りなよーん、七十、三十八ばーん!」
看守長がその時になって机上の灯りをつけ、部屋は尚通路よりも暗い。その上この部屋にはわけのわからないものがあちらこちらに散乱しているので、裸足のわたしは前へ進むのがやっと。
看守長はそんなわたしを見かねて歩み寄り、「ほうら、君は本当に目が悪いんだからねぇ」と茶化した、その手には灯り。
わたしはその灯りを頼りに、部屋の左に位置した応接用の、ベッドを改良した椅子へ向かう。ちなみに医者の診療を受けるのもいつもここだ。数日間寝たこともあり、それは看守長曰くの幸せの薬とやらを性器へ塗り込まれたからだったが、よくよく考えて見れば、結局あれも終始徹底して意味のわからない話だった。全く、その夜は酷かった。突かれる度に熱した杭を入れられている気分になった。生きているから言える話。
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