英雄の盾

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「おめでとう、七十三番。遂に決まったんだよう?」  ん「しょけー?」  処刑? 一体「いつかごー?」  人の思考を「君はわかりやすい子だからねぇ? 七十三番」看守長が怒涛のようにわたしの二の句を消し去っていく。 「でもねぇ、わかりやすい子ってことはさぁ、逆を言えばぁ、そりゃいい子ってことになるよねぇ? それでこの工場長殿、一計を案じましたぁ!」  一計?「プレゼントでしたぁ! でもねぇ?」瞬時に種明かしされる。しかしプレゼント? というかわたしが五日後に処刑?   わたしが混乱している、でもその時。 「ねえ?」一際低い、酷薄な声が聞こえた。刹那振り返ったわたしの顎はたちまち彼の手にさらわれて、眼前。 「しかしこれ以上は、教えられないんだよう?」久方ぶりに、真顔を見た気がした。わたしは震えが収まらず、話の繋がりがわからない。その男の続けるのを待つほかはない。
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