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『PiPiPi! PiPiPi!…』
―…!
電子アラームが三拍ずつ生真面目に鳴る。
その音はタイマーセットした人物にだけ聞こえればいいものの容赦無しに部屋中を電子音で埋め尽くす。
「う…うぅ~ん…」
『PiPi…』
細い声を出しながらタイマーへ腕を伸ばして止める。
「ぅ~…」
そして、先ほどまで巻き散らかしていた音は無くなり、静寂が部屋いっぱいに広がると止めた人物はゆっくり、静かに再び思考を止め身体を丸めていく。
「うぅん…! はぁ、やっぱり…」
アラームを止めた人物のベッドの中から出てきた黒い猫は寝起きの伸びをして状況を確認すると溜息をつく。
「レイ、朝だよ」
「…」
黒猫はベッドの中で返事の無い人物を起こしに掛かる。
「レイ、起きて。朝だよ」
「……」
黒猫が声を掛けるが返事は無い。
「レイ、普段ならいいけど今日は起きなきゃマズイと思うよ?」
「…だいじょうぶ、あとすこししたらおきるから~」
黒猫は布団の中の人物の頭の辺りまで移動すると小さな声で返事が聞こえてきた。
「…わかった。じゃあ、ボクは先に起きてるからね」
「ぅ…ん…」
黒猫は役目を終える事を言い、ベッドから下りていく。
「これじゃ、いくつアラームがあっても足りないよ…」
黒猫は独り言を言うと部屋を出ていく。
数分後には眠り姫が慌てて起きてくるのを想像しながら…
―…!
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