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高校二年生になったばかりの四月。
授業中、隣の席の女子がボーッと校庭を眺めている。
「神崎先輩、部活でもあんな感じなの?」
いきなり俺ーー有川冬馬に向かって話しかけてくる。
「え、あー。
ていうか、部長のこと知ってるの?」
逆に聞くと、呆れ顔をされてしまう。
「当たり前じゃん。
学校の女子で知らない人の方が珍しいでしょ」
「そっか…
で、あんな感じって?」
「ホラ」
先生の目線がこっちに向いてないことを確認して、少し身を窓際に乗り出す。
校庭では、神崎部長を始め副部長の砂川先輩や、橘先輩、奏馬先輩がいて、何やら話をしている。
部長はたまに相槌を打つ程度で、あまり自分から話していない。
「ああ、うん。いつもそんなに話さないよ」
俺達が入部した時から、用がある時にしか話しかけてこなかった。
「へーえ。またそこがいいよね」
砂川先輩も、橘先輩も人気があるけど、やっぱり一番人気は部長なのか。
奏馬先輩もカッコいいのに、あのイジられキャラが少し残念だ。
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