377人が本棚に入れています
本棚に追加
/454ページ
ロバートのいとこ、マイケルはどんなリクエストにも瞬時に応えられるピアニストだ。
このピアノで、毎晩バカ騒ぎのためには陽気な曲を、店の女の子をうっとりさせるためにはこれ以上ないロマンティックな曲を、店の主人の希望に沿うための客の里心を思い出させる曲など、自由自在に弾きこなすことができた。
マイケルに弾けないのは、ベートーヴェンやモーツァルトやショパン、リスト、ドビュッシー。
しかしそれも一度彼に聴かせてやり、チューニングの完璧なピアノを与えてやれば、見事に演奏できるような気がする。
ロバートはマイケルに頼み込んで、ギタリストとしさせてもらっていた。
だが、店の主人はあまりいい顔をしない。
音の寂しいギターなど、いらないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!