1790年 イタリア・ジェノバ ニコロの部屋

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何だって? 僕がこの人を呼んだって? ニコロはぽかんと口を開けた。 「覚えてないのか? 君はこの1ヶ月、ずっと私を呼んでいたじゃないか」 「……そうかな。 覚えがないけど」 「おいおい、しっかりしてくれよ。 私は遠いところからわざわざ来たんだぞ」 レグバは手袋をとって立ち上がると、ニコロの肩に手を置いた。 「うわっ」 ニコロはぐらっと身体を傾せ、 そばの机に手をついた。 「あ、すまん」 「僕に何をした?」 この男が僕の肩に触れたら一瞬気が遠くなった。 ニコロは薄気味悪く思いながら、男から距離を置いた。 やはりかなりの長身だ。 ニコロは、細心の注意を払いヴァイオリンを一旦ケースに納めた。
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