1790年 イタリア・ジェノバ ニコロの部屋

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「あぁ、心配するな。悪かった」 「説明、してください」 「うん、こちらも話が進まないことには困る。さて」 レグバは自分の部屋でもないのにニコロに座るよう勧めた。 自身は立ったままだ。 「君は2週間後にサン・ロレッツォ大聖堂で演奏をするんだろう?」 「何故それを」 「それで毎日ヴァイオリンの練習に勤しんでいると」 レグバはニコロのヴァイオリンを断りもなくケースから取り出し、無造作に手に取ると、ふん、サイズは小さいが、とつぶやき、いきなり弾き出した。 一番低音部のGから流れるように最高音まで4オクターブの音階を恐ろしい速さで弾き抜ける。 それから、3重音、4重音、驚くことに5重音の和音を半音ずつの上行で弾き、先ほどニコロが苦労をしていた部分を軽々と超高速プレスティッシモで弾く。 「どうかな?」  
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