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あれは7年前。
レグバは彼を呼ぶ声があれば、世界中どこへでも飛んで行く。
呼ぶ声が大きければ、距離は関係ない。
その声は、メキシコのマリアッチ奏者との契約を終えた直後、レグバのいる場所から地球上一番遠い場所から聞こえてきた。
お願いです、僕に音楽の才能を、ピアノの才能を、誰か授けてください。
か細いが強い声は、歩むべき道そのものをも模索しているように思えた。
その頼りなさは、悪魔の餌にすぐにでも飛びついてしまいそうに思えた。
レグバが、期待で胸を膨らませ駆けつけたのも無理もない。
その声は、極東の小さな島国の貧しいが清潔な町の、とある家から聞こえてきた。
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