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「あ~あぁ~…」
笑ったかと思えば、またも溜息。
愛しの君を思うばかりに、俺は雁字搦めだ。
ミーティングルームに一人。
頭を横向きに突っ伏したまま、目を瞑る。
だけど、視界は完全に暗くならず、ブラインド越しに届く陽射しが、瞼の下をチカチカさせる。
ここでグチグチ悩んでいても、早々結論なんて出ないことは解っている。
現実逃避。
今、まさにそれ。
臆病者の俺は、この難題に向かい合うことが怖い。
答えは、限られているから。
現実を受け入れる勇気がない。
こんな情けない俺を、いつも彼女は怒っていた。
『もう!はっきりしてください!』
怒りながらも、いつも俺の後押しをしてくれた。
彼女の優しさが心地よくて。
ずっと、このままがいいのに…
眩しさを感じる瞼の奥で、彼女の姿を思い描く。
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