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「せっかくだから記念写真を撮らない?」 首を傾げて、可愛い仕草で尋ねる練習台彼氏。 どこまでも乙女男子。 記念写真かぁ…撮りたいかも… でも、拗ねた態度をすぐに翻すのが恥ずかしくて、なかなか態度を軟化出来ない。 「ほら、シャッター押してくれそうな人もやってきたし、撮ってもらおうよ」 小野寺さんが目線を向けている方を見ると、さきほどの親子が石碑の前で写真を撮っている。 「ね?」ともう一度、私を覗き込んだ小野寺さんの顔は、さっきみたいな意地悪な笑顔じゃなくて、柔らかく優しい笑顔。 独特なほんわかした雰囲気に、私の表情も絆されてゆく。 「しょうがないなぁ」 素直じゃない私は、懸命に澄まし顔を作って、了承した。 「じゃあ、俺、あのお父さんに頼んでみるね!」 私が頷くと、小野寺さんは駆け足で彼らの元へ向かった。
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