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「君、凄いね。このお姉ちゃんは、あそこ通るのを怖がっていたのに」
「俺は全然怖くなかった!」
フフンと鼻息荒く、私を見上げ、自慢げに胸を張る。
うっ…悔しい。
だけど、どう考えても私の負け。
「そっか、凄いなー。お姉ちゃんは、高いところすっごく苦手なの。だけど、無理やり、このお兄ちゃんに連れてこられたんだよ。酷くない?」
「えっ!」
私のささやかな反撃に、今度は小野寺さんがギョッとする。
「ダメだよ。お兄ちゃん、男は女には優しくしないといけないんだぞ!」
「そうだよね~」
私はニヤリと口角を上げ、小野寺さんを一瞥する。
この子のお陰で一矢報いたぞ!
ポリポリと額を掻いて、苦笑いする小野寺さん。
「生意気な奴で、すみません」
「いえいえ。おっしゃる通りなので」
父親が頭を下げると、慌てて小野寺さんも頭を下げる。
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