25/35
前へ
/468ページ
次へ
私の味方をしてくれた小さな登山家に尋ねる。 「お名前は何ていうの?」 「陽介!お姉ちゃんの名前は?」 「真琴(マコト)っていうの」 「お姉ちゃん、女の子なのに男みたいな名前だね」 「こら、陽介!」 「いいんです。いつも言われてることなので、気にしてませんよ」 「ホント、すみません」 何でも正直に口に出してしまう陽介君に、お父さんは恐縮しまくっている。 マコト…この名前で、何度、男の子だと間違われてきただろう。 小さな頃は嫌で仕方なかったけれど、今更それで傷つくようなことはない。 今では、性格的に男っぽい自分に合っている名前、とさえ思っている。 『名は体を表す』だ。 陽介君は、私の後ろに立っていた小野寺さんに向かって尋ねた。 「お兄ちゃんの名前は?」 「俺は、郁(カオル)だよ」
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20777人が本棚に入れています
本棚に追加