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引き摺られるように、小野寺さんに連れられてゆく。 「お姉ちゃん、頑張れー!」 小さな登山家の励ましを受け、またも死ぬ思いで崖っぷちの山道を下山し始めるも、 「ひーーッ!!死ぬ――ッ!」 山中に私の悲鳴が響き渡ったことは言うまでもない。 そして、大問題の崖。 往きと同じように、私の身体は恐怖のあまりガチガチでスムーズに動かず… 小野寺さんの助けを借りて、なんとか少しずつ下りてゆく。 私の体勢をフォローしながら下りている彼の腕には、相当な負荷がかかっているはず。 真剣な面持ちで、降下してゆく小野寺さん。 「小野寺さん…ごめんなさい…」 か細い声で謝ると 「大丈夫。ちゃんと下まで連れてってあげるから」 私の手を上からグッと力強く握って、優しく声をかける小野寺さん。
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