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うっ…と思わず唸りそうになった。 だって、一瞬、心臓がドクンと大きく脈打ったから。 え……今の何…? 自分の反応に、自分が一番驚いている。 「さ、とりあえず大難関は突破したけど、下り立つまではまだあるから、最後まで気を引き締めてね」 「は、はい」 小野寺さんは、いつもと変わらない調子で話しかけると、すぐに歩き始めた。 私は足元を慎重に確認しながら、彼の後ろに続く。 顔を上げると自然と目に入る小野寺さんの背中。 温和な性格とは正反対な、肩幅の広い逞しい体つき。 彼の後姿を見つめていると、説明のつかないむず痒い感情が渦巻く。 何?このぞわぞわする感じ。 乙女男子の男前な一面を見て、小野寺さんを男だと意識した、とか? 「…まっさかぁ…」 突然の自分の変化に戸惑い、ボソリと呟く。
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