まどろむ夜に囁いて

４

初デートから、なんやかんやで、二人で行動を共にする機会が多くなった。

小野寺さんが言うには、とりあえず、二人のプライベート時間を増やして、お互いをもっと知ろうという試みらしい。

ま、ほとんど夜に居酒屋でうだうだと飲んでるだけで。

双方の家を行き来する、などという恋人らしいことは全くなく。

果たしてこれが恋愛の練習になっているのかどうか……甚だ疑問。

お父さんが山岳写真家だと知った後に増えた情報は、お母さんは庭師というこれまた珍しい職業だということ。

兄弟はお姉さんと弟で、我の強い上と下の真ん中に挟まって、苦労してたってこと。

嫌いなものは、シラスとエノキ茸。

苦手なものは、お化けとゴキブリ。

案外知らないこともまだあるもんだなぁとは思ったけど、いくら彼の情報が増えたからって、私達の関係は同僚の時となんら変わらず。

今日も通常業務を遂行中。