4/32
20703人が本棚に入れています
本棚に追加
/468ページ
私の応対で、文書が届いていないことを察したのだろう。 「お疲れ様です。総務の小野寺です。浜本係長はいらっしゃいますか?」 浜本…という名前が聞こえ、つい眉間に皺が寄る。 谷嶋主任と同レベルで嫌いな奴だ。 「昨日お願いした文書の件なのですが……はい……それで……」 電話口でやり取りしている小野寺さんの表情を見ていれば、私もおのずとわかってくる。 ああ…こりゃ、ダメだな。直接、品管に出向いた方がいいな… 小野寺さんが内線を切ると同時に私は立ち上がる。 「品管、私が行ってきますよ」 「いや、俺が…」 「小野寺さん、その資料の修正、急ぎでしょ」 「うん。でも…」 「文書を受け取りに行くぐらい、私でも大丈夫でしょ?」 「……」 被せ気味に主張すると、小野寺さんは眉尻を下げて、立ち上がっている私を上目使いで見上げる。
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!