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品質管理部…略して品管。 私はその部署のメンバーが苦手。 なぜなら、私の嫌いな奴らの巣窟だから。 「あー…めんどくさいなぁ…」 つい本音が口から漏れ出てしまう。 でも、これは別棟にある品管に向かうのが億劫なのではなく、会う相手が厄介なのだ。 憂鬱な気持ちを振り切るように、私は急ぎ足で品管へと向かった。 「お疲れ様です」 「おお!珍しい顔がやってきたな。堀ちゃん、お疲れさん」 昼行燈と名高き品管の内野課長が、馴れ馴れしく私に話しかけてくる。 いつもよれよれのシャツを着て、仕事は全部部下任せというのは有名な話で、私はこの人もあまり好きではない。 「内線で連絡を入れていたと思うのですが、前田さんは…」 「前田?あれ?さっきまでいたけどなぁ…」 品管のフロアを見渡すけれど、彼女の姿は見当たらない。
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