8/32

20716人が本棚に入れています
本棚に追加
/468ページ
広い庫内を覗くと誰も見当たらず、奥へと歩を進めると、棚の影の暗がりの中、ボソボソと話す声がする。 目を凝らすと浜本係長の横顔が微かに見えた。 そして、もう一人、いる。 シルエットから女性だと解る。 浜本係長と… 「係長ぉ…んっ…」 「…声出すなよ」 ああ!さいっあく!! 漏れ聞こえた声で、浜本係長と抱き合っていたのが誰だか解ってしまった。 相手は、絶対に前田だ。 あの鼻にかかった甘ったるい声は間違いない。 こんなとこで、何、盛ってんのよ!こいつら! バカすぎて、頭痛がする。 仕方なく、私はしかめっ面で足音を忍ばせ、資料庫のドアの前へと戻った。 そして、庫内に向かって、わざと大きな声で呼びかける。 「浜本係長か前田さん、いらっしゃいませんかー!」
/468ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20716人が本棚に入れています
本棚に追加