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広い庫内を覗くと誰も見当たらず、奥へと歩を進めると、棚の影の暗がりの中、ボソボソと話す声がする。
目を凝らすと浜本係長の横顔が微かに見えた。
そして、もう一人、いる。
シルエットから女性だと解る。
浜本係長と…
「係長ぉ…んっ…」
「…声出すなよ」
ああ!さいっあく!!
漏れ聞こえた声で、浜本係長と抱き合っていたのが誰だか解ってしまった。
相手は、絶対に前田だ。
あの鼻にかかった甘ったるい声は間違いない。
こんなとこで、何、盛ってんのよ!こいつら!
バカすぎて、頭痛がする。
仕方なく、私はしかめっ面で足音を忍ばせ、資料庫のドアの前へと戻った。
そして、庫内に向かって、わざと大きな声で呼びかける。
「浜本係長か前田さん、いらっしゃいませんかー!」
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