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IN THE DARK
僕は気がつくと、とにかく暗い場所に転がっていた。
目を開けて、とりあえず仰向けになった。何故かわからないが、体が重い。動くのが面倒になるような気分だ。
暗い中でも、消えそうな白熱灯が下がっているのが見えた。電灯に集る羽虫が白熱灯にぶつかるパチパチという音が聞こえる。しかし白熱灯はチラチラと瞬く程度で、殆ど辺りを見ることはできない。
「ここは、どこだ?」
そう呟く僕に、返答はない。
しかしここは、とても心地よい。生暖かくて丁度良い温度。全てを投げ出したくなるような、自分の布団の中のような香り。ずっとここに居れるのならば、とても楽に死ねる気がする。
「そうだ……。ここは……」
ふと、僕は思い出した。僕は『楽になれる場所』を求めていたのだ。
おそらく、それが、この場所だ。僕は思い出したのだ。
「『胃の中』だ……」
以前にも来たことのある、彼奴の居場所。
僕は、胃液の海に浮かぶ何かの上に転がっていたのだ。
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