第一章

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辺りは焼け野原と化していた。 何故かなんて言うまでもない。 戦争だからだ。 よく見ると焼け野原には死体が沢山ある。 そして、その死体に向かって泣き叫んでいる子どもがいる。 見慣れた景色だ。 『実験体1002、何処まで終わった?』 耳からノイズに紛れて声が聞こえる。 実験体に名前はない。 「全て。」 短く答えた。 『実験体1003、そちらは?』 「こっちもだ。」 今回はたった二人で殲滅した。 故に彼らは"兵器"と呼ばれる。 『ならば、戻れ。今回はこれで終わりだ。』 二人の耳に同時に流れた。 もう飽きていた。 戦うことに。 こんな結果になることに。
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