キスだけで、いいよ

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姉妹そろって駅まで向かう。 そこではすでに凌と姉の同僚が待ってた。 「私、逆ナンって初めて見たし!」 「え? 逆ナンなんてされたの?」 「普通にそこでお茶しませんか? って言われただけですよ」 まるでそれが日常の出来事のようににっこり笑う凌に、姉とその同僚は呆気に取られ、美穂は珍しくもないから普通に彼の言葉を聞いていた。 「……そっか、普通かぁ」 「美穂、そんな余裕ぶいてて大丈夫? ちょっと余所見してたら取られちゃうわよ?」 「はい?」 「大丈夫ですよ、だって美穂と待ち合わせしてるのに他の人とお茶なんてしないし」 ニコニコ笑顔で返ってくる言葉はなんだか少しズレてる気はするのだけど――。 「それじゃ、行きましょうか?」 「そう、ね」 「寒いしね」 凌のその声に3人の足はゆっくりと動き始めた。
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