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「おや、おや!もう2度と来ないんじゃなかったのかい?」
老人はゴルフセットを磨きながら、僕に笑いかけた。
「あんたのせいで、二人死んだ!!どうしてくれる!?」
「ほう?わしのせいと?わしは何もしとらんが?」
すっとぼける気だな!
「僕に殺人道具を説明もなく売りつけただろ!!」
「はて?…わしの商売のモットーは、押し売りをしないというものじゃが?…カメラを選び、金を支払い、説明も聞かずに飛び出して行ったのは、どこの誰だったかの?」
う…。
「こんなの、詐欺じゃないか!!」
「落ち着け青年。わしは昨日、おぬしにカメラの説明をしたはずじゃ。なのに何故、死体が増えた?…おぬしが信じなかったのが原因ではないのか?」
「誰が、信じられますか!!…僕は…僕は、大好きな人を殺してしまったんだぞ!!…殺したいほど、憎い相手じゃなく、この世で一番好きだった人間をだ!!」
僕は老人に向け、カメラを構えた。
「殺してやるッ!!」
「待て!待てと言うに!おぬしは何も分かっとらん!!」
有無を言わせず、シャッターを切る。
老人は胸の辺りを押さえると、その場に倒れてしまった。
「はあ、はあ…悪いのは、お前だからなっ!!」
店を出ようとした、その時。
僕は後頭部に激しい痛みを感じ、そのまま意識を失ってしまった。
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