殺意の足跡

9/32
2620人が本棚に入れています
本棚に追加
/323ページ
内装は、思ったよりも新しい。檜の香りが鼻についた。 この建物の一番奥にある露天風呂が、現場になるようだ。 案内されるように細長い廊下を突き進み、引き戸を開いた。 最初に更衣室があり、更にもう一枚引き戸を開くと問題の浴槽が見えた。 間接照明に囲まれるように、岩で固められた二畳分ほどの浴槽だ。 滝沢の話通り、浴槽に浸かった状態で、小島直也は事切れていた。 両手を合わせてしゃがみ込むと、目を見開いた小島の顔を覗き込んだ。 髪の毛は逆立ち、手足はピンッと伸びきっている。 口元からは涎が垂れていた。 .
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!