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《1》
この日、珍しく早目に帰宅した五十嵐真人は、妻の出す手料理をペロリと平らげた。
和食中心のおかずに派手さこそないが、自分好みの味付けに調整されており、食べていて安心する。
最近、妙な事件が立て続き、まともな食事をとる時間すらなかった為、久しぶりに家庭の味を堪能できた。
妻も、どことなく嬉しそうだった。
小学六年生になる息子と二人だけで食べる夕飯よりも、やはり家族三人が揃って食べる夕飯のほうが美味しく感じるらしい。
それには同感だった。毎日こうして卓を囲んで食べられたら、どれだけ幸せだろうか...
自分が刑事をやっていなければ、どんなに家庭の時間を設けてあげられたことか...
そう思うと、多少なりとも胸が痛んだ。
家庭が崩壊しないのは、文句一つ言わない出来た嫁さんのお陰であることは間違いない。
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