殺意の足跡

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夕飯を済ませたあと、息子の宿題を見てやり、台所で皿洗いをする妻... その背中に、心の中で手を合わせると、用意してもらった日本酒の瓶を手に取った。 家で晩酌するのも久しぶりだ。 今日は、酔っ払うまで呑んでやる...そう思いながら、おちょこに日本酒を波々とそそいでいたときだった。 テーブルに置いてあった携帯電話が震え出した。 壁に掛けてある時計を眺めると、二十三時をさしている。 こんな時間にかかってくる電話に良い話など一つもない。 携帯電話を手に取り、ディスプレイ画面に目を向けて溜め息を吐いた。 案の定、刑事課長からの電話だった。 静かに日本酒瓶に蓋をすると、携帯電話を肩に挟んでジャケットの上着を手に取った。 .
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