殺意の足跡

8/32
2620人が本棚に入れています
本棚に追加
/323ページ
「泊まりがけでか?」 「えぇ」と、滝沢は口を尖らせながら頷いているが、どうもピンとこなかった。 宮崎亜由美が事故死してから四週間。追悼会を開くにしては、少しばかり遅い気がする。 それに、生徒や先生を集め、泊まりがけで行う追悼会など聞いたことがない。 いくら自分の所で民宿を営んでいるとはいえ、いささか疑問に思ってしまう。 「まぁ、まずは現場を見てください。生徒達も、保護者には連絡しましたが、とりあえずまだ帰宅させていませんので」 「それもそうだな」 手帳をしまい込む滝沢に頷くと、「keep out」と書かれた黄色いテープをくぐり抜け、緑水荘に足を踏み入れた。 .
/323ページ

最初のコメントを投稿しよう!