殺意の足跡

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遺体から、倒れた間接照明までの尺を目測すると、手を伸ばせば届く範囲にある。 「この間接照明も、だいぶ劣化していますからね。コードも千切れる寸前だったんじゃないですか」 「他に変わった点はあったか?」 「見ての通り、周辺に争った形跡はありません。遺体には外部からの損傷も見つかっていません」 「そうか」と、五十嵐は目と鼻の先に流れる小川に目線を向けた。 緩やかに流れる小川のせせらぎが聞こえてくる。 こんなことが起きていなければ、さぞかしのんびりと入浴が楽しめただろう。 目を細めて自然豊かな周辺を眺めたときだった。 視界にキラリと光る何かが入った。小川の岸辺からだ。 .
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