殺意の足跡

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曲げていた膝を伸ばし、足元に気をつけながら光に向かって歩いていくと、岸辺の岩に何かの硬貨が六枚置かれていた。 誰かが落としたというわけではなさそうだ。綺麗に横並びに置かれていた。 「これはなんだ?」 「あぁ、それですか」と、滝沢は手帳に目線を落とした。 「古い日本の硬貨のようです。鑑識によれば、何かの御守りとして置かれていたんじゃないかって話です... 水辺にこういう小銭を置くことって、よくあるみたいですよ。まぁ、何れにせよ関係はないかと」 御守りか...と、再び古銭に目を向けた。 四角い穴の空いたその古銭。確かに、神社の水辺でみたことがある。 こういうのを何というんだったか...と、思い出せないでいたときだった。 「水辺に六文銭とは...不気味だな」 .
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