2620人が本棚に入れています
本棚に追加
/323ページ
曲げていた膝を伸ばし、足元に気をつけながら光に向かって歩いていくと、岸辺の岩に何かの硬貨が六枚置かれていた。
誰かが落としたというわけではなさそうだ。綺麗に横並びに置かれていた。
「これはなんだ?」
「あぁ、それですか」と、滝沢は手帳に目線を落とした。
「古い日本の硬貨のようです。鑑識によれば、何かの御守りとして置かれていたんじゃないかって話です...
水辺にこういう小銭を置くことって、よくあるみたいですよ。まぁ、何れにせよ関係はないかと」
御守りか...と、再び古銭に目を向けた。
四角い穴の空いたその古銭。確かに、神社の水辺でみたことがある。
こういうのを何というんだったか...と、思い出せないでいたときだった。
「水辺に六文銭とは...不気味だな」
.
最初のコメントを投稿しよう!