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序章
高層ビルが建ち並ぶオフィス街、千鳥足でふらつきながら……
「今日も~ヒック……若旦那は……お店も吉原も……がんば~まし~た~っと!!」
乱れた銀色のスーツを着た青年が歩いていた。
「……ん……?」
不意に、目の前に人が倒れている事に気付き……
青年は目をぱちくりさせ歩みを止める。
見ると、黄色いワンピースを着た吉原の花魁のようだった。
「こいつは……確か……花崎屋の売れっ子花魁向日葵じゃねぇか?」
見覚えがある花魁だと気付き、青年は傍らに座り込む。
「おいおい……こんな所で寝てちゃ駄目だろうが?」
軽く背中を揺さぶり青年は花魁に声を掛けるが……
「ん?なんか手に着いたぞ?」
なにやら、べったりと手に着いたが……街灯もなく暗いので見えない。
取り合えず鼻に近付け匂いを嗅いでみた……
「鉄の匂い……こりゃ……血だ…………きっ救急車を呼ばねぇと!!」
匂いで血だと分かり、青年は腰を抜かして尻餅を着けば慌て携帯を取り出し……
「もしもし!!大変だ!!花魁が倒れてて血を流していてヤバイんだよ!!」
救急奉行所に連絡するのだった。
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