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 ほととぎすは恋を鳴く。  古の乙女たちはその声の激しさに想い人への恋心を重ね、眠れぬ夜を過ごしてきたと云う。  まだ顔も知らない我が子を他の鳥の巣に預け育てさせ、自身は鳴いて、鳴いて、鳴き狂って、真っ赤な血でその喉が染まるまで鳴いて、死んでいくほととぎす。  母はほととぎすの様な人だった。  なんて滑稽。私には似合わない。  そう思って生きてきた。  けれど、けれども、その母の強かさだけはずっと羨ましかった。
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