第1章

4/9
前へ
/10ページ
次へ
本当にHPがゼロになった。というか目の前が真っ赤だ。恐るべし爽やかイケメン。 「で、なんの遊び?」 「爽やかイケメン撃退ごっこの、つもり」 ですと答える。なにげに隣に座ってきたことにも文句を返す気力もない。 「爽やかイケメンって、もしかして俺のことだったりする?」 ここで自分のミスに気がついた。そういえばこいつのこと爽やかイケメンと呼んでたんだった。それが口にも出てたとは、不覚!! 「ねぇー、ねぇー爽やかイケメンって誰のこと?」 「わざわざ言ってほしいのか、このナルシストめ。お前のことだ。他に誰がいるんですか」 あと、距離が近いなんで、そんなに急接近してくるんだ。 「あー、そうなん。そういうふうに見られてたのね。ちょっと嬉しいかも」 「別にお前のことをそう思ってたわけじゃない、ただ、名前を知らないから適当な呼称をつけてただけ」 「爽やかイケメンって呼びにくくない?」 「間違えた、爽やかブサメンだった」 「どんな生き物だよ。爽やかなのに顔はブサイクなの?」 「そう、そしてお前がその第一号、喜ふがいいです」 「素直に喜べないなぁ。爽やかイケメンでよくない?」 注文の多い奴め。そんなに自分の顔に自信あるのか。地震でも起きて暴落してしまえとか洒落を言うことはできない。 「どっちでもいいというか、私なんかと話してないで、イケメン好きな女子とイチャイチャすればいいきっとちやほやしてもらえる」 「いや、んー、俺よりもカッコイい人居るしそういう空気、あんま好きじゃない。ギスギスしてるから」 爽やかイケメンが天井を見上げながら言ったどうやら、嘘ではないらしいイケメンにはイケメンの悩みってのがあるのかもね。よくわからんけど。 「あっそう」 と、そっけない返事だけを返す。 「うん。あ、そういや名前、知らないって言ってたよな。俺は」 「いい」 きっぱりと断る。別に名前を知りたかったわけじゃない。 「いい、教えないでいい。別に私は貴方と仲良くするつもりはないから」こうして同じ電車に乗っても降りる駅は別々だから、変な繋がりは持ちたくない」 拒否みたいな答え方だ。爽やかイケメンがどんなつもりで私に話しかけてきたとしても私はそれに答えるつもりはない。繋がりはたちたい。 「そかそか、じゃあ、俺は君にとっての爽やかイケメンってことでいい? で、君は不思議ちゃん」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加