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「不思議ちゃん」
なんだその、脳内空っぽなアホっぽい名前はまさか、私のことかと爽やかイケメンをみると、うんうんと満足げに頷いていた。やっぱりか、やっぱりそうなのか、不思議ちゃん=私。
「早急に訂正を要求します」
「なんで、可愛いじゃん」
「可愛くない、アホっぽさ全開じゃないですか」
「そこがいいんじゃん、君みたいな子って不思議ちゃんだよ。挨拶したのにいきなりRPGごっこし始めるなんて君くらいでしょ」
アホっぽいのがいいだと!? ふざけるなと睨みつけるが爽やかイケメンはにこやかに笑うだけだ。うう、爽やかスマイル恐るべし。
「それは貴方と話したくないのでしただけです」
「耳をフーフーされて耳、真っ赤にしてたのに?」
爽やかイケメンが軽口をたたく。その減らず口を黙らせたい。あと、耳を真っ赤になんてしていない。断じてしていない。
「蹴りますよ」
「スカートで?」
「むしろ、蹴りやすいかと」
「下着見えるよ?」
「…………それは困ります」
昨日は座っていたから蹴れたけれど、今日はお互い座っているため一度、立たないと蹴れない、座ったままだと威力は半減してしまう。
「困りますが、それなら殴ぐ……」
ると言う前に手を出していた。爽やかイケメンの胸板に思いっきり拳を突き立てる気持ちで打ち込むつもりだったのに、
「女の子なんだからさ、暴力的なのはどうかと思うよ」
簡単に組み伏せられて私は電車のシートに寝転ぶ、爽やかイケメンが覆い被さる姿勢になってしまう、がたいがいいせいかより大きく見える。
「くっ、離せイケメンめ」
「はいはい、なにもしないから、落ち着きなって」
あっさり解放されてしまう、なんだか弄ばた感がひしひしと伝わってきてなんだか無性にムキーッとなる。
「もしかして、期待してた?」
「明日、世界が滅べばいいと期待してました」
「スケールでっけーで、俺と君が生き残るんだよね」
「そうなったら舌を食いちぎって自害します」
「そうなるまえに、俺が止める」
「やってみるならやってみてください」
「うん、じゃ、予行演習」
と、気がついた時には爽やかイケメンが私の頬を両手で包み込んでいた。ンッと息が漏れる。一気に心拍数が跳ね上がってくどうなった?どうなって、え? これって、
「こうやって止めてやる」
爽やかイケメンの爽やかスマイルがすごく近い。
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