《7》

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「一昨日同窓会だったじゃん?今まで出なかったけど、たまには出ようかなって気が向いて……で、土日に絡めて有給取ってこっち帰って来たんだよね」 「そしたら、華に会ってさー」と、嬉しそうなてっちゃん。 「あぁ……そういえば、同窓会なんてものあったね」 どうでもいい事は頭から消える性質の為、同窓会の事なんか完全に忘れていた。 「そうそう。華居るかなって思って楽しみにしてたのに、参加してないんだもんなー」 さも残念そうに言った彼に、相も変わらず口は上手いよな……と思いつつ 「………嘘ばっかり、てっちゃんが会いたかったのは理恵でしょ?」 嫌みったらしく返して、腕時計を見た。 5時50分である事を確認し、注文した品が早く来る事を願う。 てっちゃんは、私の問いに対して「華にも会いたかったよ」と爽やかな営業スマイルを向けた。 その笑顔が嘘臭い。 それに「華に“も”」という事は、理恵目的は図星だと言う事。 心の中で、馬鹿にしやがって……と、怒りの炎を燃やす。
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