《1》

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私の屁理屈に、彼が溜め息混じりに言ってくる。 「お前のひねくれっぷりは敬服物だな」 それに対して「えぇ、敬意を払って接して下さい」と返せば「アホか」とのお答えが。 どうせ、私はアホですよ……と、軽くヘソを曲げかけた所で、彼は「長靴じゃねーの?」と間延びした声で言った。 「……なるほど。流石は晃人さん、現実的で夢がないお答えですね」 「悪かったな、夢がなくて」 無神経な晃人さん。 彼には、神経と品性だけでなく、夢見る心とロマンも欠けているらしい。 「あ……長靴じゃなくて、便所スリッパとか?それかーーー…」 「…………もう、結構ですので」 まぁ、多少の下品さは目を瞑るとして。 何だかんだで、この下品な俺様が私には一番合っているのではないかと。
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