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逃げるが勝ち、と言わんばかりに勢い良く踵を返した私の行く手を阻んだのは
「………どこに行く気だ?」
鉄製の手錠の如く、強靭な晃人さんの手。
「あ、あの……ちょっと…?」
「いきなりクソでもしたくなったんか?」
「違いますっ!!」
逃げようにも晃人さんは手を離してくれない所か、逃げる気ゼロなご様子で。
私一人であわあわしている内に、門倉さんに引っ張られる形で浜内さんが目の前までやって来た。
……まずい、もう逃げられない。
背中に季節外れの汗が滲む。
どう言い訳するのか、この場をどう切り抜けるのが最適なのか……
混乱の真っ只中にある頭では考えられない。
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